
「かりがね」
この言葉を聞くと、つい、思い出すことがある。
簡単説明すると、この日僕は東京駅の近くの富士屋ホテルで行われる、
お医者さんの講演を聞き、その講演の内容をまとめて新聞にするという仕事が入っていた。
ところがそこに、知り合いから、国立劇場で踊る、日本舞踊の撮影を強引にぶち込まれたの。
医療関係の講演会は朝の10時から17時まで。国立劇場の踊りは、 15時から30分くらい。
完全なるダブルブッキング、オーバーブッキング。
そこで打った手が、富士屋ホテルでの講演は、テープ録音を人に委ねて、
タクシーで国立劇場に行き、撮影したら、タクシーに飛び乗って戻るという作戦。
撮影はうまくいった。
しかし、国立劇場でタクシーに乗ろうと思ったらすごい行列。
仕方なく、機材を抱えて一番前に行き、大きな声で
「すみません。仕事なんです。大急ぎで次の現場に行かなければいけないのです」と。
そういう時の気迫は凄いんだろうね。
「どうぞ」
と言って、タクシーを譲ってくれたのだった。
その時撮った踊りの題目が「かりがね」だったのである。

花をみながら、そんなことを思い浮かべていた。
そう、忘れ得ぬエピソード。
若かったんだね。
スマホカメラって本当に楽しい。