スターはいきなり高い階段から姿を現す
「ビューティースター」という名前のこの花を見た瞬間に思いだしたのが
「スターはいきなり高い階段から姿を現す」という、植村鷹千代氏(美術評論家)の言葉をだった。
この言葉は
切り絵作家小林由美子さんの「時を紡ぐ」という本の序文の書き出しのフレーズだったと思うが、
「そうなんだ、スターはいきなり高い位置から姿を現すんだ」と、えらく感心したので、よく覚えているのである。
切り絵作家小林由美子さんとの思いで
小林由美子さんは、友禅の染型を切る(カッターナイフで形を切り抜く)アルバイトをしていてヒントをつかみ、「パピエコレ」(パピルスを切るという意味)の切り絵の制作を始め、それをフランスの「サロンデボザール展」に出品し、大賞をとった人で、彼女の才能を見出したのが植村鷹千代氏だったのである。
県展で落選した作品がパリで大賞を
この作品、実は、長野県展に出品し、落選した作品だったのだが、
後に、落選した者同士が集まって、114銀行のギャラリーを借りて展覧会をした。
その会場で見いだされ、サロンデボザール展への出品を勧められ、出品したところ、それが大賞になったのだった。
知り合いの女性(この人も才女だった)テレビを見て感動し、久保ちゃん行くぞといきなり電話が
そのニュースを、確か、日本テレビだったと思うが、取り上げ、僕の知り合いの女性が見て、出版権を取りに長野に行き、「時を紡ぐ」というタイトルで出版した。
その出版の手伝いをしたのが僕で、そこから交流が始まり、僕がプロデユーサという肩書で、彼女(小林由美子氏)のパリでの個展をしきったというきさつもあって、植村鷹千代氏と一緒に旅行などもして、よく覚えているのだ。
このダリアのタイトルを見て、そんなことを思い出しながら撮ったのだった。
そういう交流の中で植村氏から聞いた話だと、
やっぱり、パット表舞台に出てくる人の作品は、一段と光って見えるらしい。
「努力も確かに必要だけど、天才はやっぱり、ちょっと違うんだね」と。
その他覚えているのは
ある時、ある雑誌社が「プロ、アマ問わずで4コマ漫画」を募集した。
その時感じたのは、アマチュアの作品というのは、凄く丁寧に仕上げてある。
それに比べて、プロの絵は、太い線だけでなんとも簡略。
やっぱりプロは凄い
ところが、印刷すると、プロの絵は無駄な線がないから、グット前に飛び出してくるのだけれど、キレイに見えたアマチュアの作品は、逆に沈んしまう。
「無駄な描写が殺すんだね」という言葉。
この話を聞いて、なる程と思ったので、今も記憶として残っているのである。
今、青春時代を振り返って、通常では会えない、凄い人と巡り会って、直接声を聴いていたのは、これこそ凄い財産と気づいたのだった。
そういう意味では、僕はすごくラッキーな人だったと、つくづく思うのだった。
やっぱり人生は人との出会いだよね…
今は、会わない文化が広まっているが、老婆心ながら、ちょっと気になる。
小林由美子さんは、1978年松本駅が改築して出来たセルヴァン(マッターホルンのフランス名から採ったもので女鹿の意でしたか)の東側階段が改札側から降りてきた階段と交わる踊り場の壁面を飾った切絵の作者の方ですね。大学生時代、深夜に松本駅新築の為の土方のアルバイトをやっていて出来上がった新駅ビルに飾られていた小林由美子さんの切絵(パピエ・コレと云う言葉も横にあった解説で知りました)に衝撃を受けました。 夜空の星の光の下に三人の乙女が立つ姿だった様に記憶しています。 その後も季節が変わる頃に、星、風、水、雪、花、宵闇、等恐らく信濃の自然をモチーフにしてその象徴となる様なニンフ・女神風の絵を見るのを楽しみにしていました。 この小林さんの作新をプロデュースに関わられたと云うをblog拝見し、羨ましくも思いつつ当時の衝撃が思い出され、有難く感じております。 また、久保様のご出身が岡山県と拝見し、私も岡山県北部の出身であるため勝手ながら親近感も覚えました。
作者の小林由美子さんが亡くなられていた様で誠に残念です。