一旦は諦めた姉の眼に視力が返ってきた。
事の発端は健康診断だった。
確か、自治体の健康診断だった。
今まで気にもしてなかった眼なのに、検査をした方がいいというチエックが入った。
77歳、テニスもするし、裸眼で新聞も読め、針に糸も通せる…
なのになぜ、そう思いながらも、気になって眼科に。
白内障って、結構、恐いんだ
結果、白内障がかなり進んでいて、失明する可能性が大と。
で、手術のための検査を受けたところ、状態は極めて悪く、手術をしても果たしてというところだったのだが、昨年12月、
取りあえず右目の手術を。
数日たって、眼帯を外すと、驚くほどよく見えるようになっていて、「世の中こんなに美しいのか」と思わず言うほどに、
色も鮮やかに見えるようになったというので気をよくして、年が明けてから左眼の手術を。
しかし結果は、期待とは裏腹に、水の中で眼を開けているような状態で、何にもみえない。
エー見えない、ショック
で、網膜移植を考えなければいけないという状態になったのだが、しばらく様子を見ましょうということになって、目薬を挿しながら…
1週間、2週間、3週間…
なんと、日にちの経過とともに、次第に視力が回復」してきたというのだ。
経過から見て、手術直後は腫れがあったのだが、その腫れが収まるにつれて視力が回復してきたというのが、医者の見解、
今では、テニスができるまでに回復したと。
それを聞いて、人間の身体の持つ不思議さ、自然治癒力、ホメオスタシス(生体恒常性)の素晴らしさに感動すら覚えた。
しかし、しかし、しかし…
手術する、しない、何を基準に考えればいいのだろう
結果は、手術は成功して良かったのだが、年齢から考えて、失明までの時間と、リスクを天秤にかけると、やるべきか、やらざるべききかは、極めて重要な判断ではなかったか、
姉の場合は、たまたま結果が良かったのかも知れないしねぇ…
そういうことがあると、眼がよく見えるって、素晴らしいことだなと、改めて思わずにはいられなかった。
「健康…」
やっぱり健康、健康であれば働くこともできるしね…
「僕は健康のために生きてるんじゃないよ」と、つい先頃までは、そう思っていたのだが、
「やっぱり健康大事だな」と、歳とともに思い始めたこの頃。
歩き始めれば、どうってことはないのだけれど、椅子から立ち上がった瞬間が、「年寄りだな」と、最近感じるように」なってきた。だから脚、できるだけ大股で、腰から歩くことを意識しているのだけれど、気がつけば、歩幅が小さくなっているのが悲しい…