
僕によって葛と言えば「葛切り」である。
螺鈿の上品な、二段重ねの器。
下の段には、氷水に入った薄い葛切りが、これまた上品に入っていている。
それを上の段の器に入っている黒蜜に浸してツルツると。
すると、口の中に程よい甘さが広がり、
冷たい葛切りが喉を通っていくときのひんやりとしてた感触が、なんとも気持ちがいい。
ははは。
テーブルの上には、作家水上勉氏の書いた「葛切り」というエッセイが置かれていた。
確か、宿酔の朝、鍵善良房の葛切りを食べると、気持ちがすっきりする。
そんな内容のエッセイだったと記憶している。
その文章を読みながらくずきりを食べると一層、おいしくなるのだった。
葛の花を1見てみたいと思ったのは、その時からだった。
僕にとっては、それは夏の風物なのだ。
螺鈿の上品な器。
氷水の中の白濁とした透明感のある、ヒンヤリ冷たい葛切。
黒蜜の味。
スット冷たい喉越、その感触。
そして、美味しをさらに高めてくれる作家の文章。
それこそ文化だと思ったのだった。
これこそ最高のコラボレーションと、僕は思っったのだった。
花が咲く頃にもう一度来よう。
スマホカメラって本当に楽しい。