コラム フォトエッセイ 雑記

キンモクセイの甘く酸っぱくて、どこか切ない香りになぜか僕はセンチになってしまうのだ

投稿日:

目次

甘くてちょっと酸っぱくて、どこか切ないキンモクセイの香り。

この花の香には特別な思いがある。
そう、この花が咲くのが、ちょうど秋祭りの頃で、学校から帰ると、普段は勤めに行って居ない母がいて、白い割烹着を着て祭り寿司をつくっている姿を思い出すのである。
きっと、家に帰ると母親がいるということが余程嬉しかったのだろうね、そのシーンだけを鮮明に覚えているのだ。

岡山の祭り寿司

岡山は祭り寿司が有名で、それぞれ、家庭によって作り方があるのだけれど、
お婆さんが(母の母)先生で、近所の人(株内だけど)に教えっていたから、多分、うちのお寿司は美味しかったのだと思う。

渋団扇、なんと懐かしい、それで扇ぐのが僕の仕事だった

僕が子供の頃には、まだ、「おくど」というのがあって、麦わらで炊いた「かまど」のご飯を寿司桶に移し、調理された酢を少しずつご飯になじませていくのだが、それにはコツがあって、
大きな渋団扇(柿渋を表面に塗ったおおきな団扇)で扇ぎながら、しゃもじを、シャッシャッと斜めに切るように入れていって、酢飯を作るのだが、
渋団扇で扇ぐのが僕の役割だった。

祭り寿司は、とても具沢山なお寿司なのだ

こうして酢飯ができると、
甘辛く煮たエビ(車エビだったと思う)
灰貝(身だけをとりだして甘辛く煮たもの。岡山寿司には必ず入る)、
甘辛く煮た寛平
酢でしめたままかり(魚)
甘辛く煮たアナゴ
千切りにしたニンジン(これはどんな味だったか?)
甘辛く煮たシイタケ
酢で味付けしたレンコン
甘い卵焼きを千切りにしてどっさり入れ
後、山椒の葉っぱも入っていたな。
今、ぱっと思い出すのはそんなものだけれど、結構、賑やかというか、華やかなお寿司だった。
これに、鯛の潮(おすまし)が定番だった。

忘れ得ぬ思いでと言った割には…なのだが、僕にとってはやっぱりね…

忘れ得ぬ思いでといったわりには、こうして書きだしてみると、なんともたわいもないものなんだけど、僕にとっては、それがとてつもなく貴重なもののように思えたのである。

多分、恐らく、きっと、それは母親への慕情だな…
結構、マザコンだったからね(笑い)
そう言えば、家で作ったお寿司なんて、もう何十年も食べてないなぁ…
恐らくもう、食べられないな。
うん、やっぱり東京では材料が手に入らないものね…
それにしても、あの頃は、なんで、そんなに、時間にゆとりがあったんだろうねぇ…
それすら懐かしく思えてきた。

-コラム, フォトエッセイ, 雑記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ユリの木の花、なんとなく、アラジンの魔法のランプ連想してしまった

目次   可愛いねユリの木の花 イソップ物語、アラジンの魔法のランプみたい 子供の頃、寝る前にお袋が読んで聞かせてくれてたの そんな思い出が、何かの弾みでフッと、浮かんでくることが多くなって …

島桜 咲いている姿がすでに生け花…

目次 忘れていた大切なものを思い起させてくれた花「シマサクラ」 シマサクラ アカネ科の花らしい(桜はバラ科) 咲いている姿が、生け花を思わせる、そんな雰囲気に惹かれて一枚。 生け花、 見る度に、「ヘー …

青鷺・アオサギ その目の鋭さ、生きることの厳しさを感じさせる

目次 鋭いねぇ、この目 生きることの厳しさを教えてくれているような、そんな気がする。 だって鳥には、貯金も何もないから、毎日、狩りをしなければ生きていけないんだものねぇ ソリャー、眼光もするどくなるよ …

クリオネが流氷の天使なら、この花は森の妖精だ。

目次 クリオネが流氷の天使なら、 この蘭は、森の妖精… この花を見た瞬間、そう思ったので、そういう雰囲気を狙って撮ったのだが、どうだろうか… 透きとおった羽に、ちょっと肩をすぼめたポーズがなんとも可愛 …

友人から、ラインメールで再び仕事の世界へ

目次 今日は久保雅督です。 「撮って書いてワヤで笑える人生日記」にお越しいただき、 ありがとうございます。 今回は、思わぬところからの撮影依頼で、なんで今頃と思いながら、それでもせっせと準備している心 …