「久保ちゃん行くよ」
「どこへ」
「信州」
「何しに」
「切り絵作家の凄い女性がいるのよ、本の交渉」
「なんで俺」
「写真撮るのよ」
分けもわからず、言われるままに列車に乗って
列車の中で聞いた話は、
パリの有名な展覧会で、金賞を撮ったとかで、日本テレビがニュースで流したのを見て、
すぐに行って、この日に会う約束をしてきたと。
この女性、才女で、犬養健の秘書をしていた人だから、行動が早いの、
この女性と僕の爺さん(母の父)が知り合いで、
それで僕を可愛がってくれていたの。
切り絵作家 小林由美子さんとの出会いは、その時が初めてだった。
辛夷が咲く、この時期になると、なぜか、思い出すのである。
二人とももう、この世にはいないのだが、思い出す度に胸が熱くなる。
小林由美子さんとは、その後、パリで個展をするというのに同行して、お手伝いをしたこともあってね…
僕の新宿御苑の事務所にも何度か遊びにきて兄弟のような付き合いをさせてもらってたの。
才女の女性は、千恵子さん
電話の応対、人と会った時のマナー、文学について、本当にいろんなことを教えてくれた。
出版社をつくって、ある有名な作家に校正刷を渡すために、バスを待っていたところに暴走車が突っ込んできて…
千恵子さんのご主人にも、随分御世話になったが、その人ももういない
振り返れば、いろんな人に本当にお世話になっている。
しかし、その割には大成しなかったね…(笑い)
忘れ得ぬ人々、
ブログでもいいから、やってみたいね、
この花を見ていたら、つい、そんなことを思ったのだった。