目次
マスカット貰った
昨日
ある所に行ったら手招きされて、
行くと
「ハイこれ」
そういって渡されたの
「見せないでね」
小さな声でそう囁かれたので
サッと抱きかかえエレベーターに乗って外に出たのだが、
この後元映画のプロデユーサーとスナックに行く予定になっていたので
取りあえずドトールに入って
バンダナを風呂敷にしてそれに包んで…
こういう時に限って、
いつも持っているトートバック持ってないんだね…(笑い)
元映画のプロデユーサーとはもっぱらゴダール…
「ヌーヴェル・ヴァーグ」(新しい波)
「斬新な映像で随分影響を受けたよ」と僕
「もう一度みたいね」と元プロデユーサー
例えばね
「木枯らし紋次郎」という映画(ドラマ)
あれもヌーヴェル・ヴァーグだよね」と僕
そうそう、
「これまでのチャンバラとは全く違うリアリズムがあった」と元プロヂューサー
「だって泥まみれになって、ハーハー肩で息しながら…」と僕
これまでにない斬新な映像だものね…
「そうそう、
アリフレックスを手持ちで撮ったりね本当に斬新だった」(元プロデユサー)
「勝手にしやがれ
気狂いピエロ
何度も見てると思うんだけど、
ストーリは全然記憶にないの
思うにあの映画はフラッシュのような斬新な映像と斬新な映像を繋ぎ合わせて
その間をポエムで繋ぐという手法だから
何かを訴求するというのではなく
何かを感じる…
例えば内面の何か
心理的なもの…
そういうのを表現しようとしたんだねきっと、
あの頃渋谷の東急文化村で
ベルイマン
トリュフォー
アーサーペーン本当によく見た
そんな話をしていたら、
そこにもう一人友達がきて、
この人500本程DVD持ってるから
「Nさん 勝手にしやがれ 気狂いピエロ 持ってない」といきなり僕
「ああゴダールか自殺したんだってねぇ」
そう言ってから
「あるよ」
「見せて」
「いいよ」
そんな話をしながら
焼酎を炭酸で割ってそこに酢橘を入れたのを飲みながら、
2時間程遊んで店を出たのだけれど、
時計を見ると
まだ夕方…
バスで阿佐ヶ谷に廻って
「茶とアン」(阿佐ヶ谷の和カフェコーヒーはない喫茶)へ
もう閉店間際だったから
お客は
3歳の男の子を連れたお母さんが一組いただけで、
お茶を頼んでその間に男の子と話をしていたら可愛くてね
「君 お名前は」
「あおい」
「ヘー変わってるねぇ…」
「何歳ですか…」
「三歳…」
「よしジャーネー
今日はいいものを持っているから写真を撮ったらみんなで食べよう」
そういうと、
6つの瞳が一斉に僕に集まる
で、
おもむろにバンダナを開き
マスカットが出てくると皆ワーッと
するとお母さんが言った
「昨日 あおい マスカットが食べたいと言っていたところだったの…」
「オーそうか…思いが通じたんだね…」
そんな会話をしながら
スマホでパシャンと写真を撮って
うん
とても美味しかった
こういう高級なものは自分じゃ買えないよね…
「僕 今日はお兄ちゃんと出会ってよかったね…」
そういうと皆にエッと言って大笑いされてしまった…(笑い)
こんな日があってもいいよね…
マスカット
口にほうばり
秋楽し
蛇足…
今日も楽し
明日も愉し…