写真エッセイ 基礎知識 撮影テクニック

顔写真に始まり顔写真に終わる。そんなことをいった時代もありました

投稿日:2019年4月29日 更新日:

今日は久保雅督です
「撮って書いてワヤで笑える人生日記」
にお越しいただきありがとございます。

今回は顔を撮るということについて書かせていただきます。

フリマ主催者から、写真家として参加しませんかという誘いが

フェイスブック友達から
「ゴールデンウイークの1日、家でフリーマーケットするので、ポートレートを撮るということで、参加しませんか」
というお誘いが。

今やお愉しみ写真家となっている私、
「大丈夫?」
という不安はある。が、
人物写真は得意だったし、
(というか、それができなければ仕事にならない。そんな時代だったから)
「顔写真、随分撮ってきたから、現場に行けば、なんとかなる」
何の根拠もない空自信だけで、

「そちらで企画してくれるのならいいですよ」
軽く受けてしまった。

写真は顔写真に始まり顔写真に終わると言われていた

私が写真家になったその時代は、
「写真は、顔写真に始まり顔写真に終わる」
というのがあって、

多くの先輩から聞かされた。

実際、その頃の私の仕事は、
インタビューアーに同行して、顔写真を撮るのがほとんどだった。

今なら、2、3枚シャッターを切れば、OKだが、
駆け出しの頃は、フイルムなので、決まったかどうかが分からないし、写っているかどうかも分からないから、
36枚撮りのフイルム2本位は撮っていたような気がする。

そう、使うのはたった一枚なのに。

失敗が許されないから、時間が許す劃り撮りまくっていた。

そんな記憶が蘇ってきた。

あの頃に比べれば、今はいいよね。
パシャパシャと撮って、モニターを確認したら、
もうそれでいいのだから…

そういう撮影を何年も続けてきて、見えたポイントが、
目を撮るということだったのです。

そこに気がついたのは、もう随分たってから。

それまでは、手の動きに合わせてシャッターを切っていたのです。
ところが、ある時、

プリントした写真を並べて眺めていて、あれっと。

そう思って見直すと、

アクションはいいのに、感情が伝わってこない写真が沢山ある。

反対に、アクションはなくても、目線がいいと、感情が伝わる。

そうか、そうなんだ。
今までは、アクションばかり気にしていたが、アクションなど、どうでもいいんだ。

大事なのは目。
「画竜点晴を欠く」「点睛開眼」という言葉もある。

ということで、目を意識して撮るようになったのです。

それで、思い出しました。

コラムちょっといい話し

ちょっと話しがずれますが、
目ということで、忘れられない話しがあるので、少しだけ時間を下さい。

私が30代の頃です。
友人がビクターレコードと組んで、各宗派の管長の説法を収録して、カセットレコードにして販売するということになり、そのカメラマンを私がやることになったのです。

その取材の何回目かの管長は、

京都の妙心寺派の管長で花園大学学長(撮影当時)の山田無文猊下でした。
小柄で、笑顔の素敵な好好爺です。
話しも上手で、つい引き込まれてしまいます。

猊下の話しを聞きながら、
いい表情を撮ろうと、私も必死です。

待っていた表情が来ました。
ニコと笑った瞬間、
シャッターを入れようとした、その時でした。
ファインダーの中で、猊下の目がキラリと光ったように見えたのです。
あまりの目の鋭さに背骨まで射抜かれたような気がして、
シャッターを切るのを躊躇してしまったのです。
脇の下から、冷たい汗がタラリと流れる感覚を覚えました。
「なんなんだ、今の迫力は…」
シャッターを切るのをためらわされるほどの迫力。
初めての体験でした。
後にも先にも、そういう経験をしたことはありません。
迫力という言葉はよく使います。が、
それが、どういうものかを初めて知りました。

顔写真は被写体(写す人)との真剣勝負

顔写真を撮るということは、
顔がきれいに写ればいいというものではない。

まさにそれは、魂と魂をぶつけ合い。

戦いなんだということを教えられた、そんな気がしました。

後に私は、
(財)省エネルギーセンターの発行する
「月刊省エネルギー」の巻頭インタビューのカメラマンとして、約3年半、当時のオピニオンリーダーと言われる人たちを、インタビューアーに同行して、撮らさせていただきました。

単行本「宇宙の渚で生きるということ」(取材 丸岡鷹次 写真久保雅督 海象社)は、省エネルギーセンターの巻頭インタビューが集大成されたものですが、
なんと、そのエピローグを私が書いているのです。

テーマは「顔を撮る」です。

本を取り出して読んでみました。
写真家になって数十年、
長年顔写真を撮ってきて、私が見つけた撮影のポイントは目を撮ることだった。
アクションが派手に決まっていても、目が活きていなければ感情が伝わってこない。
いわゆる「いい写真」にならないのである。

だが、目が活きていれば、アクションがなくても活きた写真、
「いい写真」になるのである。
だから、人物を撮影する時には、
心を無にして、相手の目に意識を集中してシャッターを押すのが私の体得した撮影術となったのである。

そんなことを書いています。

出版が決まって、気に入った写真をプリントして壁に貼り、
少し距離をおいて眺めていると、
どの人も「いい顔をしている」ことに気づきます。

いい顔とは

「いい顔」というのは、生きることの充実感、満足感にあふれていて、それが、その人の魅力となって表情に顕れているということでです。

顔は履歴書

「顔は履歴書」と言ったのは、たしか大宅壮一氏だったと思うが、顔には、人生のすべてが顕れているようだ。
ここに登場する人たちの野心がなく、欲がなく、スッキリとした嫌味のない表情─いったい、どうしたらこういう顔になれるのかと考えているうちに、一つの共通項があることに気づいた。
各人が独自の世界を確立しているということである。
人生のすべてを賭けてつくりあげた世界観─それを語っている瞬間なのだから、いい顔にならないはずがないのである。

私は仏像が好きで、よく仏像を見に出かけるが
仏像の顔はどの顔も柔和で優しくて、満足感、充足感にあふれていて、底知れないエネルギーに圧倒されてしまう。
つまり「いい顔をしている」ということである。
本書に登場する人たちの顔をそこに重ねてみると、仏像と同じ表情をしていることが分かって、悟るとは、こういうことなのかと気づかされたのである。

写真は顔写真に始まって、顔写真に終わる

先輩たちが言っていた言葉の意味が、なんとなく、わかった。そんな気がした。

顔写真は、活きていなければならない。

語りかけてこなければならない。

そのためには、目が大切なのである。

しかし、女性の顔は、少しソフトに撮った方がいい

それが、顔写真に関しての、私の考えです。

今回は顔を撮るということでエッセイを書かせていただきました。
いかがだったでしょうか。

最後に今回の話しのポイントまとめておきます。

 

今日のお話しのポイント

  • 写真は顔写真に始まって顔写真に終わる
  • 顔写真のポイントは目
  • アクションにまどわされるな
  • 目が決まっていれば、アクションはなくても活きた写真になる
  • 女性の顔は、少しソフトにとった方がいい

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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