コラム フォトエッセイ 写真エッセイ 本の紹介 雑記

カブトムシから虞美人草へ、いったいどうなってるんだ

投稿日:2020年8月13日 更新日:

目次

カブト虫

この姿、昔の武士の侍が…という感じ。

背中の何か所かに傷があるのが、戦場を潜り抜けてきた兵(つわもの)という印象を与える。
そんなことを考えていたら、司馬遼太郎の歴史小説「項羽と劉邦」のクライマックス、「垓下の戦い」の項羽と虞の別れのシーンが映像となって、脳裏に浮かんだ。もちろん、想像である。

項羽と劉邦

僕の記憶では確か、始皇帝亡き後の覇権争い。
家柄がよく、武勇に勝れた項羽と、ヤクザ上がりだが、負けても負けても人がついてくるという程、人望のある劉邦の戦い。

この二人、合計100回戦って、99回項羽が勝利し、99回、劉邦が負けているのだが、最後の垓下の戦いで劉邦が勝利して天下をとったという話。

99回も勝ち続けて天下をとれなかった男と、最後の一勝で天下をとった男の物語

そこに、何かがあって、人気となったのだと思うが、
「四面楚歌」という有名な言葉は、この最後の戦い、垓下の戦いの山場のシーンを現した言葉なのである。

四面楚歌
簡単に説明すると、劉邦は、この時もまた、不利で形勢が悪かった。
しかし、参謀が優れていた。
少ない兵を多く見せるために牛を集め、牛の角に松明をつけ、夜に火をつけ走らせながら、兵全員に、楚の歌を歌わせたのである。

項羽は、夜襲をかけられ、気が付けば回りはすでに敵だらけ、もはや、これまでかと観念した。
しかし、一緒にいた妾の虞を死なせるわけにはいかないという状況で
「力抜山兮気蓋世 時不利兮騅不逝 騅不逝兮可奈何 虞兮虞兮奈若何」

《力は山を抜き気は世を蓋う 時に利あらず騅(馬のこと)ゆかず 騅 のゆかざるをいかんせん 虞や虞や汝をいかにせん》という詩をつくり、虞を男装で逃がそうと。

 

賤妾(せんしょう)何ぞ生(せい)に聊(やす)んぜん

それを受けた虞は
「大王のおっしゃることよく分りました。私は仰せのとおり、逃げます。そのためには、刀がないと不安なので、どうぞ大王の剣をお貸しください」
そう言って刀を受け取る。その瞬間、
「 賤妾(せんしょう)何ぞ生(せい)に聊(やす)んぜん」
そう言って、その刀で自ら首を切って絶えた」というのである。
虞美人草とは、その血で咲いた花と言われている。

虞美人草

真っ赤なケシの花である。
昔はそれ、花屋さんで売られていたのかねぇ、

後に漱石が小説を書き、その題名をどうするかで悩んでいた。
その時、通りかかった花屋で、真っ赤に咲いた花が目にとまった。
「この花はなんという」
漱石は尋ねた
「虞美人草です」
その瞬間に、タイトルが決まったのだと。

「虞美人草」という小説はこうして生まれたのだというのを、何かの本で読んだ記憶がある。
真っ赤なケシの花、
東京、大和市にある「薬用植物園」で撮った記憶があるが、今日は時間がない。
こういう物語が 沢山あると、面白いのにね…

 

-コラム, フォトエッセイ, 写真エッセイ, 本の紹介, 雑記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

指揮者のカマキリ先生 燕尾服が似合うでしょう 

目次 指揮者というと、燕尾服のイメージなんだけど、なぜ燕尾服なの 調べて見ると、そうしなければならないという決まりがあるわけではなさそう。 だが、世界のどこに行っても、クラシックコンサートでは、燕尾服 …

止まっているカワセミは 撮り方テクニック気にしなくても簡単に撮れる

目次 鳥の写真を撮るようになると、やっぱりカワセミにいっちゃうよね。 だって、キレイだもの。 コロナで公園が閉鎖されて、川に行けば撮れる鳥の写真を撮り始めたのだが、とても楽しい。 そんな分けで、僕にと …

シジュウガラ なんとも爽やかな春の風景に心奪われ

目次 朝夕の風は冷たいが、昼はポカポカの春 旧暦の節月 24節気 (太陽が移動する天球上の道、黄道を24等分した節気のこと) によると、 春は1月から3月 夏は4月から6月 秋は7月から9月 冬は10 …

緋ねむは、いわゆる日本のねむ(ねぶ)ではない…

目次 合歓(ネム)に似ているが、緋ネムはネムではないらしい。 ネムと緋ネム 見た瞬間、「アッ ネムか」 そう思ってカメラを向けたのだが、ズームで引っ張ると、今まで撮っていたネムと、ちょっと違う。 「あ …

花を花として見るのではなく、そこに描かれた物語を見るのも結構楽しい

目次 花の中に隠された物語を見るのも結構、楽しい。 今日はミュージカル 「ドナドナ」 僕ら(団塊世代)は、この歌、反戦歌として歌ったのだけれど、 最近は、若い女性たちの間で、 行きたくないところに誘わ …